こんにちは。海の達人無線担当の服部です。
今回は、海の無線 国際VHFの“VHF”とは一体なに?についてのお話です!
一般的にVHFと呼ばれているものは「電波」の一種で、電波の周波数の内30〜300MHzの範囲を「VHF帯」もしくは「超短波帯」と呼びます。
電波の波がプラスからマイナス、そしてまたプラスに戻るまでを「1波長」といい、1波長の長さを一般的に「波長の長さ」と言います。
また、1秒間に何回プラスとマイナスが入れ替わるかを表すのが周波数(Hz)です。
つまり、VHFは1秒間に3千万回から3億回プラスとマイナスが入れ替わる、高周波の電波ということですね!
VHF帯を利用しているのは船舶以外に航空や消防無線、他にも多くの場面で利用されている周波数帯です。
それではここから、周波数が低い電波と高い電波それぞれどんな特徴があるのか解説してまいります。
低い周波数の電波の特徴
低い周波数(波長が長い)の電波は地表に沿ったり、電離層(大気の一部。プラズマ状態になった領域)に反射することで遠くまで届いたりする特長や、障害物の裏側にも回り込みやすいという特徴があります。
しかし、無線機は大型なものが多いことや、やり取りできる情報量が少ない短所もあります。
高い周波数の電波の特徴
周波数が高い(波長が短い)電波は多くの情報を送ることが出来るため、より繊細な無線通信に利用されています。
また、小型の無線機やアンテナが作りやすいことも大きな特長と言えます。
しかし、波長が長い電波とは逆に、電離層を突き抜けるため、電波は見通し距離にしか届きません。ただ、突き抜ける特性によって衛星通信が可能です。
また、直進性が高くなり、障害物に反射しやすくなります。
マイクロ波程の高周波の電波になってくると、雨等でも減衰してしまうため、船舶レーダーなどではそれらを抑制するための回路が取り入れられています。
こちらの図のように、それぞれの用途に適した周波数帯の電波が利用されています。
VHFより波長の長いHF帯「短波帯」は航空機や船舶通信、短波放送などで使われる周波数帯です。
このHF帯までが電離層に反射されるため、遠距離通信に適しています。
反対にVHFより波長の短いUHF帯「極超短波帯」は携帯電話や地デジのテレビ放送、電子レンジなど幅広く利用されています。
さて、本題のVHF帯も特徴ですが、電離層には反射しにくく、短波に比べると直進性が強い。しかし山や島の陰にもある程度回り込んでくれます。
VHFの数十倍の周波数帯であるマイクロ波は、より直進性が強く、マイクロ波を利用する船舶用レーダーでは島陰に隠れている船舶を補足できません。
一方で、VHF帯を利用するAIS(船舶自動識別装置)ではマイクロ波よりも電波が回り込んでくれるため、船舶の存在をより早く知ることができます。
通信距離は見通し距離までなので、何百マイルも先との通信は出来ませんが、十分な量の情報を送信でき、さらに障害物の影響も比較的小さい。
以上のような理由から船舶通信にはVHF帯の電波が適しているということで、利用されています。
今回はここまでです。
電波の特徴について少しは知ってもらえたでしょうか?